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版権同人小説ブログ
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暖かい陽射しも既に薄れ太陽は徐々に西へと傾いている。
鼻を啜ると小平太は箒を地面に投げ掌を擦り合わせ満足気に頷いた。
「此れだけあれば充分だな」
足元には落葉の山が築かれ周囲を見渡すと土しか見受けられない。
「お、随分集まったな」
「文次郎。幾つ貰えた?」
横から声が掛かり現れた文次郎に尋ねると文次郎は手にした袋を此方に渡した。
小平太は中身を確認すると不満の声を上げる。
「小さくないかー此れ」
「俺に文句言うなよ。文句は食堂に言えっ」
「……言えるわけないだろ。おばちゃんだぜ」
小平太は袋を抱えると手早く落葉の山に火を付けた。
細い煙が上がったかと思うと赤い炎が蛇の舌の様に落葉から姿を出し、やがて落葉の山は炎に飲み込まれた。
「あっ、たけぇ~」
「あ~」
手を翳し暖を取っていると上から声が降って来た。
「里芋は?」
其の声に文次郎と共に見仰いだ小平太は名前を呼んだ。
「長次」
枝から降り立った長次が小平太の抱えている袋に視線を向けたので取り敢えず小平太は笑顔を浮かべた。
すると長次は悟ったらしく何も聞かず只嘆息を一つ吐いた。
「いやぁ何か落葉集めるのに夢中になっちゃってさーまだなんだ」
「もう入れるか?」
文次郎の言葉に小平太は袋の中から里芋を取り出すと長次が枝で掻き分けた焚火の中へと放り投げた。全て入れると焚火は元へと戻される。
「文次郎…此れってどれくらいで食えるんだっけ?」
「覚えてない」
「おいおい!」
「まあ、焦がさなければ好いんだろ」
「匂いで分かる…はず」
空を見ながら言う長次につられ小平太も目を向けると煙む様に白く広がる雲が夕日に染まり淡い茜色へと変じていた。
其れが山に掛かりまるで山火事が起こっているかの様にも見える。
「空、凄いな~」
小平太の言葉に文次郎が逆の方向を見上げ、うっと声を漏らした。
「星が光り出しているぞ……暗くなる前に出来上がるのか?」
「……………さあ?」
「…………………」
足元でぱちぱちと焚火が小さな声を上げた。
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